1-8 顕性の法則の原理
メンデルは親は1対の対立形質について2つの遺伝子を持っていて、子供には2つのうちの1つを受け渡すと考えた。
種子の形を丸くする遺伝子をRとすると、純系の丸の親はRR、純系のしわの親はrrと表わすことができる。
そして、これらを交雑すると、丸の親からは遺伝子Rを、しわの親からは遺伝子rが子に受け継がれ、
F1 はRrという遺伝子の組合せを持つことになる。この時、遺伝子Rと遺伝子r の間には遺伝的な違いがあって、遺伝子Rが存在すると、遺伝子rがあっても遺伝子Rの形質が現れると考えれば、Rrは丸形となり、顕性の法則の説明ができる。
※ 現在では、遺伝子の実体がDNAであり、その塩基配列が遺伝情報であることが分かっている。種子の形の丸形としわ形にの違いは、ある酵素の有無によって決まることも解明された。遺伝子が正常で酵素が作られると丸形となり、塩基配列の一部が変化して正常な酵素が作られない場合しわ形になる。正しく機能する遺伝子を遺伝子R、正しく働かない遺伝子を遺伝子rと考えれば、この現象が説明できる。
演習4 次の項目へ 第1章目次