5-2 性染色体と性決定の様式


 「遺伝子の染色体説」をさらに裏付けたのは、性染色体の存在と、性によって 異なる遺伝現象の研究であった。
 性の区別のある生物の多くには雄と雌とで異なる染色体があり、性の決定に関与している。 この染色体を 性染色体 という。それに対し、性染色体以外の雄雌に共通な染色体を 常染色体という。
 通常、性染色体はX、Y、Z、Wなどの記号であらわされ、それぞれX染色体、 Y染色体、Z染色体、W染色体という。
 性と性染色体の組合せの主なパターンは4種あり、それぞれ次の表の通りである。
性決定の型 性染色体構成 性決定配偶子 生物例
雄ヘテロ型 XY型 XY XX 精子 ヒト、ショウジョウバエ、ネズミ
XO型 XX 精子 カメムシ、バッタ、コオロギ
雌ヘテロ型 ZW型 ZZ ZW カイコ、ニワトリ、イチゴ
ZO型 ZZ トカゲ、ハト、ミノムシ
 ヒトは雄ヘテロ型XY型の性決定で、雄(男)はXY、雌(女)はXXである。
 ※XO型の雄、ZO型の雌は、それぞれ性染色体は1つしかない。この場合、性染色体を持たない精子、卵ができる。雌雄で染色体数が異なることになる。
 ※XO型、ZO型は、それぞれXY型のY、ZW型のWが欠如したものと考えるこ ともできる。


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