5-4 伴性遺伝


 性染色体上に存在する遺伝子に関する遺伝を考えるとき、性によって遺伝の様式が 異なることになる。このような遺伝を伴性遺伝という。
 この現象は、ショウジョウバエの突然変異の一つである白眼の遺伝の研究などから アメリカの モーガンらによって明らかになった。

<例1>ヒトの赤緑色覚異常の遺伝
 ヒトのX染色体上に赤緑色覚異常に関する遺伝子がある。この遺伝子は潜性である。 赤緑色覚異常遺伝子をa、赤緑色覚異常でない遺伝子Aとすると、aをもつX染色体を、Aをもつ X染色体をとあらわすと考えやすい。
 男子はX染色体を1つしかもたないので、そのひとつのX染色体にAがあるかaが あるかで、赤緑色覚異常になるかならないかが決まる。(の2通り)
 女子はX染色体を2つもっているので、赤緑色覚異常遺伝子aがあるX染色体が2つそろわ なければ、赤緑色覚異常にならないことになる。(色盲はの場合のみ)

    ・赤緑色覚異常でない男子:
    ・赤緑色覚異常男子   :

    ・赤緑色覚異常でない女子:, 
    ・赤緑色覚異常女子   :

例題 次の場合、子の形質はどうなるか



答え
 男子・・赤緑色覚異常でない:赤緑色覚異常=1:1

 女子・・赤緑色覚異常でない:赤緑色覚異常=1:1

※ 伴性遺伝では雌雄別々に分離比を示す

は赤緑色覚異常ではないが、赤緑色覚異常をもっているので保因者(潜在者)という

※赤緑色覚異常は、かつては「色盲」と呼んでいたが、不適正として言い換えられた。
※赤緑色覚異常は、男子では20人に一人、女子では400人に一人の割合で見られる。
※「赤と緑が区別でない」とされるが、個人差も大きい。

[研究9]男子で赤緑色覚異常の場合、赤緑色覚異常の遺伝子は父親、母親のいずれに由来するか。また、女子が赤緑色覚異常となる場合はどんな場合があるか、考えてみよう。
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