<付録1> 集団遺伝学
第6章までは、個体の間でみられる遺伝のようすを考えてきたが、
生物を集団(個体群)としてみた場合、集団内での遺伝子の頻度など
について考えてみよう。
ハーディ・ワインベルクの法則
生物集団の中における遺伝子Aと遺伝子aの頻度をp、q(ただし、p+q=1)と
すると、この集団の自由交配によって生じるF1は
(pA+qa)=pAA+2pqAa+qaa
となる。したがって、このF1の集団におけるAとaの遺伝子頻度は
A:a=(p+pq):(pq+q)=p(p+q):q(p+q)
=p:q
となる。すなわち、遺伝子頻度は代を重ねても変化しないことになる。
この法則は、1908年にイギリスのハーディとドイツのワインベルクによってそれぞれ独立に発見されたもので、
ハーディ・ワインベルクの法則と呼ばれる。
この法則が成り立つためには、次の条件が必要である。
@集団が十分大きいこと(個体数が多いこと)
A集団内で自由に交配が行われること
B突然変異がおこらないこと
C遺伝子頻度の異なる集団からの移住・混血がおこらないこと
D自然選択がおこらないこと
[例題]にがみ物質(PTC)を、ある濃度で感じる人(感受者)と感じない人(非感受者)がいる。PTCをにがみと感じない形質は、常染色体上の遺伝子 によって支配され、感じる形質に対して劣性である。PTCをにがみと感じる形質を支配する遺伝子をT、感じない形質を支配する遺伝子をtとする。
ある集団で、非感受者の割合が16%であった。この集団でt遺伝子をヘテロにもつ人の割合は何%か。
<解法> 遺伝子Tとtの遺伝子頻度をそれぞれ p、q (p+q=1)とする。ハーディ・ワインベルクの法則から、非感受者の割合はq、t遺伝子をヘテロにもつ人の割合は2pqである。
q=0.16 だから p=0.4、したがって q=0.6 となり 2pq=0.48 48%
演習65
演習66
演習67
演習68
演習69
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