<問題36の解答>

(1) dの遺伝子型    iの遺伝子型 または  
(2) 10% 
(3) 22.5%

解説
  伴性遺伝と連鎖が組み合わさった、やや難しい問題である。

1.まず、家系図の男性の遺伝子型を決定する。

  問題文の例にあるように、ここでは、X染色体を と表すことにする。また、Y染色体は で表す。男性はXYでX染色体は1本しかないので、表現型と遺伝子型は完全 に一致する。つまり、色盲でも血友病でもない人の遺伝子型は++( )であり、色盲の男性の遺伝子型はc+( )、色盲で血友病の男性の遺伝子型はch( )となる。したがって、下図のようになる。

  次に、女性の遺伝子型を考える。女性はX染色体を2本持っているので、 表現型からだけでは、遺伝子型が決定できないことが多い。劣性形質が現れる場 合に限って遺伝子型が確定できる。しかし、子や親の遺伝子型から、推定するこ ともできる。

女性dの遺伝子型を考える
  女性dの遺伝子型は子や親の遺伝子型から決定できる。その子である男子 fや男子hに色盲と血友病の両方が出ているので、色盲遺伝子cと血友病遺伝子 hの両方を持っていることがわかる。(男子は父親からY染色体を受け継ぐので 、X染色体は母親から受け継いだものしかない。)
  また、父親bは、++であるので、女性dは++のX染色体を必ず受け継 いでいる。以上のことから、女性dの遺伝子型は と決定できる。

女性iとjの遺伝子型を考える
  女性iとjの遺伝子型について考えると、両方とも父親cから c+ をも つX染色体を受け継いでいる。もう一本のX染色体は、母親dから受け継いだも のである。母親dの遺伝子型は ch/++ であるが、卵形成の時にくみかえが 起こり、卵にはもともとの遺伝子の組み合わせである ch と ++ 、くみかえ によってできる c+ と +h も生じる。このときのくみかえ率が10%であるの で、++:+h:c+:ch=9:1:1:9になる。

  女性iは父親から受け継いだ c+ を持っているのに、色盲になっていな いから、母親からは ++ か +h を受け継いだことになる。確率的には ++ が 90%、 +h が10%である。
  女性jは父親から受け継いだ c+ を持っていて、色盲になっているから 、母親からは c+ か ch を受け継いだことになる。確率的には c+ が 1 0%、 ch が90%である。

  以上の結果から、家系図からわかる遺伝子型は次のようになる。ここで、赤の□は遺伝子が決定できない(+かh)ことを示している。



女性jと正常男子の間にできる子の遺伝子型を考える
 女性jの遺伝子型は確定できないが、c+/ch が 90%、c+/c+ が10%であると考えられる。
 正常の男子の遺伝子型は、である。
 血友病の遺伝子hは、c+/chの場合しかないので、女性jと正常男子のあいだに血友病の男子が生まれるためには、女性jがc+/chである必要がある(確率0.9)。この女性が配偶子(卵)を作ると、c+とchが半数ずつできる。つまり、hをもつ配偶子ができる確率は0.9×0.5になる。
 男子の方は、X精子とY精子が半数ずつできるので、子が男子になる確率はY精子が受精するばあいで、その確率は0.5となる。
 つまり、女性jと正常男子から血友病の男子が生まれる確率は、0.9×0.5×0.5=0.225 (22.5%)となる。


色盲や血友病の遺伝では、男の遺伝子型をまず決めよ。

男子のX染色体は母親から受け継いだものである。

女子は父親のX染色体を必ず受け継いでいる。

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