解説
4組の対立形質に関する問題なので、やや複雑であるが、順序よくやって
いけば解ける問題である。
1.まず、表の表現型を対応する遺伝子記号で置き換えて以下のような表を作
る。
表現型 | ||||
柱頭の色 | 葉の厚さ | 葉の色 | 丈の高さ | 個体数 |
a | b | c | d | 300 |
A | B | C | D | 280 |
a | B | c | d | 70 |
A | b | C | D | 70 |
a | b | c | D | 110 |
A | B | C | d | 130 |
A | b | C | d | 20 |
a | B | c | D | 20 |
A | b | c | d | 290 |
a | B | C | D | 290 |
A | B | c | d | 70 |
a | b | C | D | 70 |
A | b | c | D | 120 |
a | B | C | d | 120 |
a | b | C | d | 20 |
A | B | c | D | 20 |
合計 | 2000 |
2.次に、4組の遺伝子のうち、2対の遺伝子に注目して、表を作り直す。
1) 遺伝子A(a)と遺伝子B(b)を考える(C(c)とD(d)は無視する)
柱頭の色 | 葉の厚さ | 個体数 |
A | B | 280+130+ 70+ 20= 500 |
A | b | 70+ 20+290+120= 500 |
a | B | 70+ 20+290+120= 500 |
a | b | 300+110+ 70+ 20= 500 |
表から、AとBについてのくみかえ率を計算する。
(500+500)÷2000×100=50
くみかえ率が50%になる。つまり、遺伝子A(a)と遺伝子B(b)は独立であ
る(別々の染色体にある)ことがわかる。
2) 遺伝子A(a)と遺伝子C(c)を考える(B(b)とD(d)は無視する)
柱頭の色 | 葉の色 | 個体数 |
A | C | 280+ 70+ 130+ 20= 500 |
A | c | 290+ 70+120+ 20= 500 |
a | C | 290+ 70+120+ 20= 500 |
a | c | 300+ 70+110+ 20= 500 |
表から、AとCについてのくみかえ率を計算する。
(500+500)÷2000×100=50
くみかえ率が50%になる。つまり、遺伝子A(a)と遺伝子C(c)は独立であ
る(別々の染色体にある)ことがわかる。
3) 遺伝子A(a)と遺伝子D(d)を考える(B(b)とC(c)は無視する)
柱頭の色 | 丈の高さ | 個体数 |
A | D | 280+ 70+120+ 20= 500 |
A | d | 130+ 20+290+ 70= 500 |
a | D | 110+ 20+290+ 70= 500 |
a | d | 300+ 70+120+ 20= 500 |
表から、AとDについてのくみかえ率を計算する。
(500+500)÷2000×100=50
くみかえ率が50%になる。つまり、遺伝子A(a)と遺伝子D(d)は独立であ
る(別々の染色体にある)ことがわかる。
4) 遺伝子B(b)と遺伝子C(c)を考える(A(a)とD(d)は無視する)
葉の厚さ | 葉の色 | 個体数 |
B | C | 280+130+290+120= 820 |
B | c | 70+ 20+ 70+ 20= 180 |
b | C | 70+ 20+ 70+ 20= 180 |
b | c | 300+110+290+120= 820 |
表から、BとCについてのくみかえ率を計算する。
(180+180)÷2000×100= 18
くみかえ率が 18%になる。つまり、遺伝子B(b)と遺伝子C(c)は連鎖し
ている(同じ染色体にある)ことがわかる。
また、AaBbCcDdでは、BとC、bとcが連鎖していたことがわかる
。
5) 遺伝子B(b)と遺伝子D(d)を考える(A(a)とC(c)は無視する)
葉の厚さ | 丈の高さ | 個体数 |
B | D | 280+ 20+290+ 20= 610 |
B | d | 70+130+ 70+120= 390 |
b | D | 70+110+ 70+120= 370 |
b | d | 300+ 20+290+ 20= 630 |
表から、BとDについてのくみかえ率を計算する。
(390+370)÷2000×100= 38
くみかえ率が 38%になる。つまり、遺伝子B(b)と遺伝子D(d)は連鎖し
ている(同じ染色体にある)ことがわかる。
また、AaBbCcDdでは、BとD、bとdが連鎖していたことがわかる
。
6) 遺伝子C(c)と遺伝子D(d)を考える(A(a)とB(b)は無視する)
葉の色 | 丈の高さ | 個体数 |
C | D | 280+ 70+290+ 70= 710 |
C | d | 130+ 20+120+ 20= 290 |
c | D | 110+ 20+120+ 20= 270 |
c | d | 300+ 70+290+ 70= 730 |
表から、CとDについてのくみかえ率を計算する。
(290+270)÷2000×100= 28
くみかえ率が 28%になる。つまり、遺伝子C(c)と遺伝子D(d)は連鎖し
ている(同じ染色体にある)ことがわかる。
また、AaBbCcDdでは、CとD、cとdが連鎖していたことがわかる
。
(1)(2)の問題を解く
以上のことから、BCDは同じ染色体にあって連鎖していて、Aはそれら
とは別の染色体にあることがわかる。
また、交雑した親のAaBbCcDdは、BCDについてみると遺伝子の
組み合わせは、BCD/bcdとなっているので、[BCD]と[bcd]は連
鎖関係にあった遺伝子間にくみかえが起こらなかった結果生じたものである。[
BCD]は表では「黄厚緑高」と「紫厚緑高」で 280+290= 570、[bcd]
は表では「黄薄黄低」と「紫薄黄低」で 290+300= 590 となり、したがって、
それらの合計は 1160 である。
(3)の問題を解く
交雑結果の表で、「黄厚緑高」、「紫厚緑高」、「黄薄黄低」、「紫薄黄
低」以外の 12種類は、くみかえが起こって生じたものである。親の遺伝子の組
み合わせがBCD/bcdであるから、[BcD]と[bCd]は二重のくみか
えか起こって生じたことになる。交雑結果の表では、「黄厚黄高」、「紫厚黄高
」、「黄薄緑低」、「紫薄緑低」の4種類である。一重のくみかえで生じたもの
は8種類となる。
3.くみかえ率から遺伝子地図を作る。
遺伝子BCDの2つの遺伝子間のくみかえ率は、BC= 18%、BD= 38
%、CD= 28%である。つまり、染色体上ではBCDの順に並んでいて、下の
ような位置関係になっている。
BC= 18%、CD= 28%であるので、BD間のくみかえ率は、18+28=46
となるように計算されるが、実際にはBD間のくみかえ率は38%となっている
。この差は、二重交叉によって二重のくみかえが起こり、その分だけ減少してし
まうのである。