【参考】 被子植物の配偶子形成と重複受精


 被子植物の胚乳形質の遺伝を考える時、被子植物に特有な 配偶子形成の過程と重複受精のしくみを知る必要がある。

◎胚のう形成
 胚のう母細胞から減数分裂で4つの細胞ができるが、そのうち 3つの細胞は消失し、残りの1つが胚のう細胞になって胚のうを 作る。したがって、胚のう母細胞の遺伝子型がAaの場合、 胚のう細胞の遺伝子型はAかaのどちらかになる。 胚のう内の核の遺伝子型はすべて同じであるので、胚のう細胞の 遺伝子型がAなら胚のう内の核の遺伝子型はすべてAとなる。
胚のう細胞の遺伝子型がAになるかaになるかの確率はともに50%である。

◎花粉と精細胞の形成
 花粉母細胞から減数分裂で4つの細胞ができるが、胚のう細胞と違って それらはすべて花粉細胞になる。花粉母細胞の遺伝子型がAaの場合、 遺伝子型Aの花粉と遺伝子型aの花粉は半数ずつできる。 花粉は発芽して花粉管の中で1つの花粉管核と2つの精細胞ができるが、 それらの遺伝子型はすべて同じである。



◎被子植物の重複受精
 被子植物の場合、胚は動物と同じで精細胞と卵細胞の受精によってできるが、 それ以外に、もう一つの精細胞は2つの極核と合体して胚乳核を作る。 このように2ヶ所で授精が行なわれるので「重複受精」と呼ばれる。 ここで、重要なことは、2つの精細胞の遺伝子型が同じであり、片方がAならもう一方もA であることになる。また、2つの極核の遺伝子型も同じであるので、2つの極核 の遺伝子型はAAかaaのいずれかであり、Aaは生じないということである。 胚乳の遺伝子型はAAA、AAa、Aaa、aaaのように3文字になる。

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