「生物基礎」教科書と授業展開を考える 

2022年1月の日本生物教育学会で発表する内容の関連資料です。


資料4 旧課程「生物基礎」教科書での「発展」の変遷
     (初版と改訂版の比較)

 ※「遺伝子」部分だけでなく、もっと詳しく分析したものがあり、参考にしていただきたい。
    中道貞子  高等学校「生物基礎」教科書における用語と頁数について―初版と改訂版の比較―


    第2章(編) の「遺伝子」の部分をピックアップしました。
    ここでは、出版社名は出さずに、各社1点ずつをA〜Eとしてあります。
    初版と改訂版の記号は同じ社のものです。

初版(2012)と改訂版(2016)の比較
 
 初版では項目数、ページ数の割合にかなりの違いがあったが、改訂版では「横並び」となった。

     「発展」の項目数   「発展」の割合(%)※ 
    初版  改訂版   初版  改訂版
   A    21     10    51%     40%
   B    7     10    20%     32%
   C    12     12    32%     33%
   D    7     12    36%     37%
      11    11    37%     36%

※「実験」や「問題」を除いた部分における「発展」のページ数の割合(%)


 初版(2012)の概要

     「発展」の
項目数
「発展」 
ページ数
 総ページ数 章扉、 「実験・観察」、
章末問題を除いたページ数
 「実験」や「問題」を除いた部分
における「発展」の割合(%)
   A    21   24.0   61    47   51% (24/47×100)
   B    7    5.3    38    26   20% (5.3/26×100)
   C    12   9.6   36    29.5   32% (9.6/29.5×100)
   D    7   7.6   32    21   36% (7.6/21×100)
      11   10.3    38    28   37% (10.3/28×100)



詳細   ( )内はページ数、1ページのものは省略。

  全61ページ(実験観察・探求12,章末問題2含む)  発展24ページ   51%
   減数分裂と遺伝子の行動(2), ヌクレオチドとDNAの分子構造(2)
   DNAの複製のしくみ(2), 染色体の構造(2/3), 細胞周期を制御するしくみ(2)
   アミノ酸の構造とその結合(1/2), タンパク質を構成するアミノ酸の種類(1/2)
   タンパク質の立体構造, 酵素の反応と外的条件(2/3), 酵素の基質特異性(2/3)
   RNAの種類(1/2), 遺伝情報の組み込まれている鎖(1/2),転写−翻訳の過程(2)
   塩基配列とアミノ酸配列(2), 塩基配列の変化, ヒトのゲノムの特徴
   ヒトのゲノムにみられる個人差, 細胞の分化とiPS細胞, 
   成長に伴った発現する遺伝子の違い, 真核生物にみられる遺伝子発現の調節
   ゲノム解析と有用な遺伝子の探索


  全38ページ(実験実習8,まとめ・章末問題2,章扉2含む) 発展5.3ページ  20%
   ヒトゲノムプロジェクト, DNAと染色体, 塩基の相補性を利用したDNAの複製
   デオキシリボースとリボース(1/2), 3つの塩基の並び‘方とトリブレット(1/4)
   翻訳のしくみ, ハエの発生過程とパフ(1/2)


  全36ページ(実験実習4.5,まとめ・章末問題1,扉1含む) 発展10.2ページ   32%
   塩基の相補性を支える結合(1/2), タンパク質の構造(2), 
   遺伝情報とアミノ酸の配列(2/3), RNAの種類(1/2), タンパク質合成の過程(2)
   タンパク質の合成と遺伝情報の変化(1/2), 遺伝情報の逆転写(1/2)
   DNAの複製, 細胞の分化と遺伝情報(1/3), ガードンの実験の意義(1/8)
   発生と遺伝情報の発現, 発生の進行とパフの位置変化


  全32ページ(実験実習8,まとめ・章末問題2,扉1含む) 発展7.6ページ   36%
   染色体とDNA(1/3), 遺伝子の研究の進展と技術の革新(2)
   DNAの複製の仕組み(1/2), いろいろなRNA(1/3), 転写と翻訳の仕組み(2)
   タンパク質の構造(1/2), 発生の過程で発現が異なる遺伝子(2)


  全38ページ(実験実習4,まとめ・章末問題3,扉3含む) 発展10.3ページ  37%
   塩基を構成する分子(1/2), 染色体の構造(1/2),
   ヒトゲノムの中に含まれる情報(2/3), 細胞分裂のさいにみられる構造(2/3)
   DNA複製の過程, 減数分裂とDNA量の変化(2), アミノ酸の構造と種類
   RNAの種類と働き(1/2), トリプレツ卜とコドン-DNAからアミノ酸配列への変換
   タンパク質の機能とDNA塩基配列, 昆虫の成長過程とパフの変化(1/2)
   遺伝子の発現と細胞の分化の制御


 改訂版(2016)の概要

     「発展」の
項目数
「発展」 
ページ数
 総ページ数 章扉、 「実験・観察」、
章末問題を除いたページ数
 「実験」や「問題」を除いた部分
における「発展」の割合(%)
   A    10   12.0   41    30   40% (12/30×100)
   B    10    9.8    44    31   32% (9.8/31×100)
   C    12   10.6   38    32   33% (10.6/32×100)
   D    12   10.7   40    29   37% (10.7/29×100)
      11    9.5    34    26.5   36% (9.5/26.5×100)



詳細   ( )内はページ数、1ページのものは省略。

  全41ページ(実験観察・探求10,章末問題1含む)  発展12ページ   40%
   塩基の相補性(1/2), 染色体の構造(1/2), DNAの複製のしくみの解明
   減数分裂と減数分裂時のDNA量の変化, タンパク質の構造(2)
   転写・翻訳の過程(2), 塩基配列とアミノ酸配列, DNAの塩基配列の変化
   発生に伴う発現遺伝子の変化, 細胞の分化と遺伝子(2)


  全44ページ(実験実習9,まとめ・章末問題3,章扉1含む) 発展5.3ページ  32%
   染色体の中のDNA(2/3), ゲノムブロジェクトとオーダーメイド医療
   塩基の相補性を利用したDNAの複製, 細胞周期,DNAの複製,DNA量の関係(1/2)
   アミノ酸の構造とタンパク質の構造(2), デオキシリボースとリボース(1/2)
   mRNAの塩基配列とアミノ酸配列の対応関係, 転写と翻訳のしくみ(2)
   ハエの発生過程とパフ(1/2), 細胞の分化によってゲノムは変わるのか


  全38ページ(実験実習4,まとめ・章末問題1,扉1含む) 発展10.2ページ   33%
   塩基の相補性を支える結合(1/2), タンパク質の構造(1.5)
   遺伝情報とアミノ酸の配列(2/3), 遺伝暗号表(1/2), タンパク質合成の過程(2)
   遺伝情報の変化と形質の変化, DNA複製のしくみ(1/2)
   減数分裂とDNA量の変化(1/2), 細胞の分裂回数と染色体の構(1/2)
   発生の進行とパフの位置変化, 発生と遺伝情報の発現
   分化した細胞の遺伝情報についての研究の歴史


  全40ページ(実験実習5,まとめ・章末問題4,扉2含む) 発展10.7ページ   36%
   塩基どうしの結合(1/5), 染色体の構造(2/3), 性染色体(1/3)
   ゲノムの多様性と医療, DNAの複製のしくみ, タンパク質の詳しい構造
   さまざまなRNA(1/4), 転写と翻訳のしくみ, タンパク質合成の詳しいしくみ(2)
   パフの位置の変化(1/3), 真核生物の遺伝子発現の調節
   細胞の分化と技術の革新(2)


  全34ページ(実験実習3.5,まとめ・章末問題3,扉1含む) 発展10.3ページ  37%
   塩基の相補性と塩基聞の結合(1/2), DNAの複製, 細胞周期の制御
   アミノ酸の構造と種類, タンパク質の立体構造, RNAの構(1/2)
   転写と翻訳のしくみ, トリプレットとコドン, タンパク質の機能とDNA塩基配列
   ショウジョウパエの成長過程とパフの変化(1/2), 分化した細胞の初期化




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