「生物基礎」教科書と授業展開を考える 

2022年1月の日本生物教育学会で発表する内容の関連資料です。


資料6 「生物基礎」教科書における「重要用語」の扱い

   今回の学習指導要領では重要用語が過多にならないように、生物基礎では200〜250語程度
   程度に抑える旨が記載されている。日本学術会議が提出した「高等学校の生物教育における
   重要用語の選定について(改訂)」(2019)のリストと、教科書本文と「参考」の重要用語(ゴチック)を
   比較した。
   ※ここでは、ゴチックであるかのみを取り上げる。
    記載があってもゴチックでなければカウントして いないことに注意。


    第2章(編) の「遺伝子」の部分をピックアップしました。
    ここでは、出版社名は出さずに、各社1点ずつをA〜Eとしてある。

 [参考] この件については、下記に詳しい資料があるので、参照されたい。
    学術会議の報告「高等学校の生物教育における重要用語の選定について(改訂)」、
    中道貞子  高等学校「生物基礎」教科書における用語と頁数について―初版と改訂版の比較―
    中道貞子  高等学校生物教員が選んだ『生物基礎』の重要用語に関する考察
    渥美茂明ら 平成21年高等学校学習指導要領に対応した生物分野の教科書に見られる用語の研究


日本学術会議の「重要用語」リストにある用語(19語)
 
  厳選された用語なので、各社がほとんど「重要用語(ゴチック)」として扱っている。

    リストにある用語
遺伝 ○脚注
遺伝子
DNA デオキシリボ核酸
二重らせん ○−構造 ○−構造 ○−構造 ○−構造
DNA 複製 ○複製 ○複製 ○複製 ○複製
塩基配列
塩基対
ヌクレオチド
ゲノム
細胞周期
細胞分裂 ○体細胞分裂
遺伝子発現 ○発現 ○遺伝子の− ○発現
RNA リボ核酸
mRNA
tRNA
rRNA (発展)
タンパク質
転写
翻訳



日本学術会議の「重要用語」リストにない用語(34語)
  学習指導要領にも、学術会議のリスト以外の用語も「重要用語(ゴチック)」としても良い
  ことになっている。内容の記述に必要な語が用いられているが、バラツキも大きい。

    リストにない用語 E 
形質 ○脚注
塩基
デオキシリボース
アデニン
チミン
グアニン
シトシン
相補性 ○塩基の−
半保存的複製
分裂期(M期)
間期
アミノ酸
リボース
ウラシル
セントラルドグマ ○(参考)
分化 ○細胞分化
だ腺染色体
染色体
相同染色体
リン酸
アミノ酸配列
コドン
遺伝情報
ヌクレオチド鎖
G1期(DNA合成準備期)
G2期(分裂準備期)
S期(DNA合成期)
アンチコドン
開始コドン
終止コドン
パフ
   形質転換    ○(参考)    
   シャルガフの規則    ○(参考)    


「発展」部分の重要用語(ゴチック)
  「発展」の部分には、重要用語(ゴチック)の扱いをしていないものもあるが、
  「発展」部分にも、「重要用語(ゴチック)」を表記しているものもある。

      「発展」部分の
重要用語(ゴチック)の数 
 「発展」部分の
重要用語(ゴチック)
   A  5  水素結合,エキソン,イントロン,スプライシング,tRNA
   B  0  
   C  7  水素結合,ペプチド結合,ポリペプチド,RNAポリメラーゼ,
エキソン,イントロン,スプライシング
   D  44 DNAポリメラーゼ,DNAヘリカーゼ,プライマー,リーディング鎖,
ラギング鎖,岡崎フラグメント,DNAリガーゼ,複製起点,
テロメア,テロメラーゼ,ヒス トン,ヌクレオソーム,
クロマチン織維,常染色体,性染色体,動原体,
細胞周期チェックポイント,がん細胞,アミノ基,カルボキシ基,
側鎖,ペプチド結合,N末端,C末端,一次構造,二次構造,
三次構造,四次構造,αヘリックス,βシート,
S-S結合(ジスルフィド結合),変性,突然変異,置換,挿入,
欠失,RNAポリメラーゼ,アンチセンス鎖,センス鎖,全能性,
多能性,幹細胞,組織幹細胞,iPS細胞,
   E  0  




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