1-5 顕性と潜性・顕性の法則


 メンデルはその他の6対の対立形質についても同様に実験をおこなったが、 同じように対立形質のうちの一方が F1 に生じ、他方は生じなかった。
 ここで、対立形質のうち F1 に生じる形質を 顕性(優性) の形質、 F1 に生じない形質を 潜性(劣性) の形質という。
 1対の対立形質の間に顕性と潜性があることは、 顕性の法則 として知られて いる。種子の形については丸形が顕性形質、しわ形が潜性形質ということである。

メンデルの実験の結果
 親(P)の形質   F1 に現れた形質
 @種子の形  丸  × しわ 
 A子葉の色   黄色 × 緑色 
 黄色 
 B種皮の色   有色 × 無色 
 有色 
 Cさやの色   緑色 × 黄色 
 緑色 
 Dさやの形   ふくれ×くびれ 
 ふくれ 
 E花の位置   えき生× 頂生 
 えき生 
 F茎の高さ   高い × 低い 
 高い 

注)顕性・潜性は、かつては優性・劣性と呼んでいた。しかし、優性・劣性といっても、優れている・劣っているということではなく、誤解を招くとの指摘が以前からあり、変更された。
もともと、英語では、dominant と recessive で、優・劣の意味はない。顕性・潜性の方が原意に近い訳語と言える。


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