<演習71>  ある植物で、めしべは正常であるが、おしべが不完全で花粉が不稔(子孫ができない状態)になるものがある。この性質は、細胞質と核内の遺伝子との相互作用によるもので、不稔性細胞質(S)と核内の潜性遺伝子rとの働きによって花粉不稔個体となる。これを(S)rrと表す。一方、稔性細胞質(F)をもつ個体は遺伝子の種類(Rまたはr)にかかわらず花粉は正常に発育する。また、顕性遺伝子Rをもつ個体は細胞質が(S)でも正常花粉をつける。次の各問に答えよ。
(1) F1植物がすべて花粉不稔個体となる両親の細胞質の性質と遺伝子型を記せ。
(2) 花粉不稔個体とある個体とを交配したところ、そのF1植物のうち約50%が花粉不稔個体となった。この交配に用いた個体の細胞質の性質と遺伝子型として考えられるものをすべて記せ。
(3) A、B2個体を相互に交配してF1植物をつくったところ、Aを母親にした場合は、その約50%が花粉不稔個体であった。また、Bを母親にした場合は、F1植物のすべてが正常花粉個体であった。AとBの細胞質の性質と遺伝子型を記せ。
(4) C、D2個体を相互に交配したところ、Cを母親にした場合は、F1植物のすべてが正常花粉個体であったが、多数のF1個体を自家受精させてF2をつくったら、花粉不稔個体も分離した。また、Dを母親にした場合は、F1、F2ともに 正常個体のみであり、別にDを花粉不稔個体と交配したF1も正常個体のみであった。CとDの細胞質の性質と遺伝子型を記せ。
(5) F1を自家受精させてつくったF2で、不稔個体を約25%分離する両親の組み合せはどのように考えられるか。その組み合せを母親を前、花粉親を後にしてを例にならって記せ。
 [例](F)RR×(F)Rr         (1989 東京農大)


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