<問題22> オオムギの遺伝に関する次の文章を読み,次の各問に答えよ。
イネ,コムギ,オオムギなどの穀類では,栽培種(栽培品種)と野生種の基本的な違いは,野生種では穂や種子が熟するまでに植物体から容易に脱落する(脱拉性という)が,栽培種では収穫しやすいように熟しても脱落しない(非脱粒性)ことである。この性質は1個または2個の遺伝子によって支配されている。
オオムギの脱粒性については,野生種(脱粒性)は栽培種(非脱粒性)に対して顕性であり,東洋型の栽培種と西洋型の栽培種は遺伝子型が異なることが知られている。また,オオムギは自家受粉植物であるので,栽培種,野生種ともに遺伝子型は同型(ホモ)接合である。
東洋型と西洋型の栽培オオムギ1系統ずつと野生オオムギ1系統について,雑種第一代(F1)および雑種第二代(F2)を作り,脱粒性を調査した。その結果をまとめると表1のようになる。なお,組合せの雄親と雌親を入れ替えても結果は同じであった。
この結果はァ 1 遺伝子の顕性/潜性関係のある2対立遺伝子では説明できないが,ィ 独立した2つの遺伝子による次の仮説で説明できる。
仮説:各々の遺伝子で顕性/潜性関係のある対立遺伝子A,aとB,bを仮定すれば,この実験に用いた野生種はAABB,東洋型栽培種はaaBB,西洋型栽培種はAAbbである。なお,遺伝子型aabbは東洋型でも西洋型でもない栽培種である。
(1)下線部アで述べている,説明できないこととは何か。次の(@〜Cのうちから一つ選べ。
@ 表現型には,脱粒性と非脱粒性の2つの型がある。
A 遺伝子型には,異なった3つの型がある。
B 潜性である栽培種には,2つ以上の異なる遺伝子型がある。
C 野生種が顕性である。
(2)下線部イの仮説によれば,表1の東洋型×西洋型のF1の脱粒性個体の遺伝子型は何か。 正しいものを,次の@〜Cのうちから1つ選べ。
@ AABB A AABb B AaBB C AaBb
(3)下線部イの仮説によれば,表1の東洋型×西洋型のF2で分離した脱粒性個体のなかで,最も頻度が高い退伝子型はどれか。正しいものを,次の@〜Cのうちから1つ選べ。
@ AABB A AABb B AaBB C AaBb
(4)ある栽培種が東洋型であるか,西洋型であるかを決める交配に関する記述として正しいものはどれか。次の@〜Dのうちから1つ選べ。
@ 東洋型および西洋型と交配して,F1がともに非脱粒性であれば西洋型である。
A 東洋型および西洋型と交配して,F1がともに脱粒性であれば西洋型である。
B 野生種および西洋型と交配して,F1がともに脱粒性であれば西洋型である。
C 東洋型と交配してF1が脱粒性であり,西洋型と交配してF1が非脱粒性であれば西洋型である。
D 東洋型と交配してF1が非脱粒性であり,西洋型と交配してF1が脱粒性であれば西洋型である。
(5)野生オオムギと栽培オオムギに関する記述として,誤っているものはどれか。次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@ 野生オオムギと栽培オオムギは,穂の形質で区別できる。
A 野生オオムギと栽培オオムギは,遺伝子の違いによって区別できる。
B 栽培オオムギに野生オオムギの花粉がかかっても,その子孫に野生オオムギは出現しない。
C 野生オオムギから突然変異によって生じた非脱粒性オオムギを利用して,栽培オオムギがつくられた。
(センター試験1999)
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