6-4 交さと組換え


 実際には多くの場合、連鎖は完全でなく、AaBbからはAB 、Ab、aB、abの4種類の配偶子が生じてくる。しかし、その比率は1:1: 1:1とはならず、親の遺伝子の組み合せと同じものが多く生じ、違う組み合せ のものは少ない。(右図)

 AとB,aとbが連鎖しているAaBbの親からAbやaBという遺伝子型の配偶子がなぜできるのだろうか。このしくみを考えるには,配偶子ができるときに行われる減数分裂における染色体の動きに注目する必要がある。

 減数分裂第一分裂前期では、相同染色体対合して二価染色体を形成する。二価染色体が第1分裂中期に赤道面に並び、第1分裂後期に相同染色体が分かれて別々の細胞にはいる。このとき、1対の遺伝子が2つに分かれ ことになる。
 相同染色体が対合したときに、多くはそのまま分かれ、遺伝子の組み合せは変わらないが、このときに、少数ではあるが染色体が部分的に入れかわりが起 こり、遺伝子の組み合せが変わることになる。染色体の部分交換が起こることは 、顕微鏡による観察でも確認されている。  このときに起きる染色体の交わり を 交さ 、染色体の部分交換を 乗換え(のりかえ) 、乗換えの結果生じる遺伝子の組み合せの変化を 組換え(くみかえ という。
  

※実はこの図は正確とは言えない。染色体の部分交換であるのりかえは、染色体のどこかで必ず起こっているのだが、注目する2つの遺伝子の間でのりかえが起こらなければ、結果的にのりかえがなかったことと同じになる。相同染色体が対合するためには、染色体ののりかえは必須である。
 

前の項目に戻る   練習45   練習46   練習を飛ばして次の項目へ    第6章目次へ